3Dスキャンはタイムマシーン
3Dスキャンは“対象物を正確に記録する技術”ですが、 その前に大切なことがあります。
それは “モノへのリスペクト” です。
量産品であっても、モノには必ず作り手の想いがあります。
使う人のことを考え、どうすれば使いやすいか、どうすればもっと良くなるか。
その積み重ねの上に、ひとつのモノが生まれています。
まして文化財級のモノは、なおさらです。 多くの人が守り、繋いできたからこそ、現代に残っています。 時代の変化や困難を乗り越えながら、 「これは後世に残すべきものだ」という強い想いがあったからこそ、 今、私たちの前に存在しています。
なので、スキャン作業は、ワークをリスペクトすることで、単なる業務ではなくなると考えています。
なぜリスペクトが必要なの?
理由はとてもシンプルです。
- 文化財は唯一無二の存在だから
- 工芸品には作り手の魂が宿っているから
- 触り方ひとつで状態が変わってしまうから
- スキャンは“記録”であると同時に“対話”でもあるから
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、 少なくとも私は本気でそう思っています。
実際の現場での姿勢では…
モノを前にして、「仕事だからスキャンする」という態度で向き合うと、
扱い方がまったく変わってしまいます。
触れ方、置き方、光の当て方、触れる前の確認。 必要以上に触らない、息がかからないようにする。 文化財を扱う現場では、こうした“当たり前の所作”がとても重要です。
先日、日本刀をスキャンする機会がありました。 (実際の動画はこちらです)
刀を前にした瞬間、私は必ず“手を止めて、頭を下げる”時間をつくります。 そこにあるのは刀そのものだけではなく、 代々の武士の家系が手入れを続けてきた時間です。
多くの人が繋いできたから、刀は現代に残っています。 そしてスキャンすることで、 その歴史を、さらに多くの人に見てもらえるようになる。
とても苦労はしましたが、 古来のモノに触れるという、深く心に残る体験でした。
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